
Profile
10年ほど前、私は介護や家事・育児に明け暮れていました。
疲れて何もできなくなったある日、家の中を見渡したときに、モノがあふれていることに気づきました。
押し込まれた衣類、積まれた紙袋、使っていない食器たち。
まるで私の心そのもののように、混乱して、窮屈で、呼吸がしにくい。
モノの山が、私の「後回しにしてきた気持ち」の象徴だと気づいたのです。


最初に手をつけたのは、洋服でした。
いつか着るかもしれないと取っておいた沢山の服がタンスにぎゅうぎゅうに詰まっていました。
ひとつひとつ手に取るたびに、「これを持っていて、私は幸せなのだろうか?」と問いかけました。
その瞬間、心に小さな灯りがともった気がしました。
モノを見つめることは、同時に自分を見つめることなのだと。
片付けを進める中で、私は多くの「感情」と出会いました。
後悔、執着、罪悪感、そして愛着。
それらを手放すのは簡単ではありませんでした。
けれど、「ありがとう」と心の中でつぶやきながら不要なものを手放すと、不思議と心が軽くなる。
まるで長年まとってきた鎧を一枚一枚脱ぎ捨てるように、本来の自分に近づいていく感覚がありました。
やがて私は気づきました。
片付けとは、ただ家を整える行為ではなく、自分自身と向き合い、自分自身を大切にする行為だということ。
片付けの時間は、自分の心に寄り添う時間。
まるで瞑想のように、今ここに意識を向け、自分と静かに対話する時間なのです。
以前の私は「もっと頑張らなければ」「人に迷惑をかけてはいけない」と、自分を追い詰める言葉ばかりを胸に抱えていました。しかし片付けを通して、「私は私でいい」「私はすでに充分頑張っている」と、自分を認められるようになりました。
心が整えば、自然と家族との関係も変わっていきました。以前は「私ばかりが大変」と感じていたのが、「みんなで一緒に家を整えたい」と思えるようになったのです。


片付けは、私にとって「人生の再出発」を支えてくれた大切なツールです。介護や家事に追われ、自分を見失いそうなときこそ、ほんの小さな片付けから始めてほしい。
引き出しひとつ、棚の一段だけでいい。
モノを見つめ、自分の心を見つめるその行為が、必ずあなたの心を癒し、未来へとつなげてくれます。
もし今、あなたの心が疲れているなら、片付けを通じて「自分を大切にする時間」を持ってみてください。それは、忙しい毎日の中でも自分に贈れる最高のプレゼントです。
そして、片付けを通して見つかるのは、モノを減らしたシンプルな部屋だけではありません。
あなた自身の本当の想い、そして「私はどう生きたいのか」という人生の指針が、そこに浮かび上がってくるのです。
あなたの“心の引き出し”には、
どんな気持ちが
詰まっていますか?
趣味はダンス&ミュージック
素敵な音楽を聴くと踊り出します!








